Column
プロの空撮エピソードから学ぶ
2011年に株式会社アマナでプロの空撮チーム「airvision」を立ち上げた横濱校長が、機体の開発からCMの撮影まで10年に亘る長い経験の中から全てのドローン運用者に向けたアドバイスをシリーズでお届けします。
今回のテーマは「紫外線は百害あって一利だけ」という、経験からのご注意です。
紫外線は年間を通して地球に降り注いでいますが、特に5月6月あたりから強くなりますね。近年、紫外線は皮膚に良く無い、目に悪い、老化の元、癌の元などという認識が強くなっていて、子供にも注意する親御さんが増えています。唯一、体のためになるのはビタミンDの生成ですが、これは普通の日常生活で満たされるので、紫外線はほぼ悪者といえます。
ドローンの目視操縦は、日常生活ではあり得ない長時間空を見つめることになります。普通のロケでも陽を浴びる時間が長いわけですが、ドローン空撮の操縦者とスタッフは目から入る紫外線が圧倒的に多くなります。若いうちは影響が表面化しないので軽視しがちですが、蓄積は確実に進んでいて、この影響が加齢と共に後で出てくるのです。歳とってから後悔しないように。笑
紫外線にはUVA、UVB、UVCという種類があり、それぞれ体に与える影響も違うようです。細胞核のDNAを破損させるのはUVB。UVBはDNAに損傷を加えて発癌の元になるので怖いです。
さらに危険と言われるUVCは地表にはあまり届かないそうです。
UVAは最も長期間浴びる紫外線です。ヒトはUVAを浴びるとメラニンを生成します。これは紫外線の侵入を防ぐための自然な反応だそうですが、生成量は個人差や民族間でも差があります。皮膚が紫外線を浴びると多くの場合は後に褐色を帯びてきます。褐色にならない人もいますが、赤くなるだけで褐色にならない人の方が危険と言われています。 逆に普段から肌がやや褐色が強く、陽に当たってもほとんど炎症期が無いという人は紫外線に強いということになますね。
紫外線によって生成されたメラニンは、沈着したり潜在した後にシミとなって顔ばかりでなく体中に出てきます。また皮膚のハリを保つ弾力層を破壊し老化を促進します。シミは治療で消せたりしますが、一度破壊された弾力層は再生されないそうですから、若さを保ちたい人は気をつけてください。
紫外線は操縦者の命である眼にも良くありません。網膜を傷めたり、眼の病気に繋がったりします。網膜を痛める飛蚊症がひどくなり、部分的にぼやけたりしてきます。
また「目から入り込んだ紫外線は体中に悪さをする」という人もいます。悪性腫瘍など、UVBがDNAを破壊することに起因するものだということです。
眼を守るにはできるだけ広角をカバーするUVカットのサングラスなどが必要です。メガネの脇や周囲が空いているとそこから紫外線は入り込んできます。またガラスレンズよりポリカーボネイトなどの樹脂レンズがUVカットに有効だそうです。同じ理由からコンタクトレンズは紫外線カットに有効だそうです。
また、カメラレンズと同じで、レンズそのものに光が当たるとフレアーが発生し、スッキリと見えなくなります。ツバのあるキャップなどをかぶって、できる限りレンズに光が当たらないようにしましょう。特にメガネレンズの内側に光が入るとその内面反射が色を発生して大変見にくくなります。操縦中に思わぬ事態で慌てないように注意しましょう。
横濱 和彦 Kazuhiko Yokohama
1951年生まれ 2012年 空撮チームairvision 立ち上げ映画、TVCM、PR動画、MVなどの撮影をする。MVなどの撮影をする。アマナドローンスクール校長として座学講習や責任者も兼ねる。
【代表作】・JR東日本、JR東海 CM・ヤクルト CM・トヨタ、レクサス PV・レッドブル MV
■実績 総飛行時間:543時間 夜間飛行時間:35時間 目視外飛行時間:25時間
■資格 DJIインストラクター、JUIDA無人航空機操縦技能ライセンス、JUIDA無人航空機安全運航管理者ライセンス、JUIDA認定スクール講師ライセンス、第三級陸上特殊無線技士