Column
2021年6月4日に国会で成立した「航空法の一部を改正する法律」のうち無人航空機に関する部分の概要
去る6月1日から飛行制限空域に「緊急用務空域」が加えられた省令が施行された。それに引き続き、今年の3月に立案されたさらなる改正が6月4日に国会で成立し、公布から18ヶ月以内に施行される見込みだ。無人航空機を運用する者はこのように頻繁にある法規制の動きを注視し、常に現行法を理解しておく必要がある。
とはいえ、法令文書というのは解りにくい。国土交通省のホームページや報道向け資料ではかなりわかりやすくなっているが、それでも専門家が書くと言葉足らずを防ぐあまり、文字が多くなるものだ。
そこで、今回の改正内容を思いっきり箇条書きにしてみた。人の理解はまず概略の理解から入ったほうが早い。その上で第二段階、第三段階と詳細を確認していただければと思う。
●機体認証制度
機体を審査し、第一種機体と第二種機体を認証する制度。機体認証と型式認証に二つがある。
機体認証
個々の機体について審査認証すること
型式認証
製造者が登録申請し、その製品について一括審査認証すること
型式認証が登録された機体は機体認証の審査の一部又は全てを省略できる。
ただし、第三者上空を飛行する場合は一部のみ省略できる。
認証を受けた製造者と認定者は立入検査を受け入れなければならない。
※審査認定機関について具体的なことは決まっていない。
●操縦者技能証明制度
一等操縦士技能と二等操縦士技能を認定する。
指定試験機関による身体検査、学科試験、実地試験に合格する必要がある。
登録講習機関による講習を受けた者は上記の一部又は全てを免除する。
有効期間は3年
更新は登録更新講習機関にて適正検査と講習を受ける。
※指定試験機関については一者となる方針。各機関いずれも具体的な表示はない。
●「特定飛行」を定義
下記に該当する飛行を「特定飛行」と呼ぶ。
「特定飛行」を実施するには許可・承認の申請が必要。
1 空港およびその周辺の上空と高度150m以上の飛行
2 DID地区での飛行
3 夜間飛行
4 目視外飛行
5 人や物との距離30m未満の飛行
6 イベント上空飛行
7 危険物を搭載する飛行
8 物件を投下する飛行
●特定飛行の規制を二段階に設定
許可・承認に必要な条件を下記の二段階に分けた。
① 第三者の上空を飛行する「特定飛行」
② 第三者の上空を飛行しない「特定飛行」
※「第三者の上空を飛行しない」とは、飛行範囲に飛行高度を加味した地上の範囲を第三者の立ち入り禁止措置するなどの管理をして飛行するという意味。
●特定飛行の許可・承認に必要な条件
① 第三者の上空を飛行する「特定飛行」の申請要件
機体条件 第一種機体認証が必要
操縦者条件 一等操縦者技能認定が必要
許可・承認が飛行ごとに必要
② 第三者の上空を飛行しない「特定飛行」は機体認証、操縦技能認定が無くても申請可能。
機体認証、技能認定を持たない場合は特定飛行の全て飛行ごとに申請が必要。
機体条件 第二種機体認証
操縦者条件 二等操縦者技能認定
上記二つがある場合は「特定飛行」の上記2、3、4、5は飛行ごとの申請は不要。
1、6、7、8は飛行ごとに必要。
●運用時の新規定
1 第三者の立ち入りを規制する飛行で、第三者が立ち入った場合は速やかに飛行を中止する。
2 特定飛行の場合、飛行の日時、経路などの内容を国土交通大臣に通報することが必要。
3 飛行日誌の作成保管が義務となる。
4 技能証明の携帯が義務となる。
5 「特定飛行」以外の飛行を含めて下記が義務化され違反者に罰則が与えられる。
事故処置の義務。負傷者の救護などの対処が義務となる。
事故報告の義務。国土交通大臣に報告する義務。
インシデント報告の義務。事故に至らない事象の報告。
以上。施行日は未定。