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2022年12月に新たな航空法がスタートする。大きな目的は2023年3月までに「レベル4飛行の実現」をすることだが、今回の改正ではライセンス制度や機体認証制度など新しい制度により構成される規模の大きい改正なので、無人航空機に関する航空法を一から学び直すほどの情報量がある。そこで下記のように5回に分けてその概要を解説する。
①改正航空法の全体像 →(前回)
②機体認証制度 →(今回)
③操縦ライセンス制度
④運行管理要件(運航ルール)
⑤運行管理システム
[認証の種別]
「機体認証制度」は飛行レベルに適合する性能と安全性の基準を明確にして、国および国が指定する登録機関がこれを適用させる制度で、自動車の車検制度と同様に行政が機器の性能と安全性の維持に一歩踏み込んでくることになる。
内容としては主に量産機を対象にした「型式認証」と個々の機体の現状を検査する「機体認証」の二つで構成される。さらに下図のようにそれぞれの検査基準が「第一種」と「第二種」に分けられる。
自作機はユーザーが設計、製造過程などの型式認証にあたる検査から受ける必要がある。また
型式認証を済んだ量産機でもユーザーにより改造された場合は自作機と同じ扱いになる。改造とは製品の内容を独自に変更したり、純正以外の装置を付加、サードパーティのソフトウエアを利用するなどを含む。
さらに機体認証は製造番号に基づく認証のため、量産機をそのメーカーが修理して製造番号が変わった場合などは、改めて機体認証を受ける必要がある。
[認証の適用]
この基準を「飛行方法別」に適用すると次の図の様になる。レベル4(第三者の上空で目視外飛行)を実行するためには第一種認証を受けた機体が必要。レベル4以外の飛行のうち、一定の空域、一定の飛行方法を行う場合は第二種の機体認証が必要で、それ以外の飛行は特に機体認証は要らない。
[機体認証の検査内容]
次の表はユーザーが受ける機体検査(現状検)の検査内容を整理したものだが、内容は書類検査と実地検査があり、第一種と第二種の別と「未使用品」と「使用品」とで適用が異なる。第一種では実地検査が全てに必要になる。それぞれの詳細は7月の基準策定後になる。
[施行までの予定]
12月の施行に向けたスケジュールは下図の様になる。それぞれの検査基準は7月までに策定される見込み。
「第一種」の「型式認証」はすでにメーカーなどと協議を経て適合製品の開発が進んでいるという。「機体認証」開始は12月の改正航空法施行以降となる。
「第二種」の「機体認証」は7月に予定される検査基準決定後、改正航空法の施行を待たずに検査を開始することが予定されている。
次回は「操縦ライセンス制度」について!
横濱 和彦 Kazuhiko Yokohama
1951年生まれ 2012年 空撮チームairvision 立ち上げ映画、TVCM、PR動画、MVなどの撮影をする。MVなどの撮影をする。アマナドローンスクール校長として座学講習や責任者も兼ねる。
【代表作】・JR東日本、JR東海 CM・ヤクルト CM・トヨタ、レクサス PV・レッドブル MV
■実績 総飛行時間:543時間 夜間飛行時間:35時間 目視外飛行時間:25時間
■資格 DJIインストラクター、JUIDA無人航空機操縦技能ライセンス、JUIDA無人航空機安全運航管理者ライセンス、JUIDA認定スクール講師ライセンス、第三級陸上特殊無線技士