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コラム

Column

EPISODE12: GPS依存は危険

プロの空撮エピソードから学ぶ

 2011年に株式会社アマナでプロの空撮チーム「airvision」を立ち上げた横濱校長が、機体の開発からCMの撮影まで10年に亘る長い経験の中から全てのドローン運用者に向けたアドバイスをシリーズでお届けします。今回のテーマは「GPS依存は危険」です。


 2015年10月、某飲料メーカーのCM撮影で、監督の意向により当時最新のカメラを搭載することになりました。しかしそのカメラはロケハンやリハーサルには間に合わず、本番の数日前に到着するとのこと。実際の飛行によるテスト撮影はできず、ジンバルのバランス取りと映像送信の接続とテストだけが精一杯という状況で本番を迎えました。


 本番当日、早めに現場入りしてカメラをセットし、映像送信と動作をチェック。ここまでは万全でしたが、念の為一度飛ばそうと機体をセットしてカメラの電源を入れるとGPSがゼロになり、Aモードになります。カメラのスイッチを切るとGPSは15個キャッチしてPモードに…。

 どうやらカメラの電源ノイズのようですね。あってはならないことですが、輸入一号機にたまたま固有の瑕疵があったようです。こんなノイズだけでGPSが使用不能になるなんて、想定外でした。

 幸い操縦系には問題なさそうなので、その撮影はすべてAモードで凌ぎました。いざというときにもPモードを選べないのはリスクもあるし不安です。無事に終わってほっと胸を撫で下ろしたものでした。

 


 後日、上の写真の矢印のようにGPSアンテナの下にアルミニウムと銅のプレートを敷き、下方からのノイズをカバーすることで同様のトラブルを解消しました。


 GPSの活用による、機体の位置を維持する機能はとても便利ですね。DJIの製品では「Pモード」を選ぶことでこの機能を利用することになります。このPモードには機種によってGPSの活用以外に「ビジョンセンサー」や赤外線センサー、音波センサーなどを活用して地面や床の存在を認識しながら機体の位置を維持する機能も含まれていますので、GPSが使えない屋内やトンネルなどでも位置維持機能が使えます。

 位置維持機能があれば、操縦操作を止めることでその場に停止しますので、操縦が容易になるだけでなく、安全面からも有用な機能だと言えます。


 機体の位置を維持する機能を使用しない状態はアティチュードモードと呼ばれるモードです。DJIの製品では「Aモード」と呼んでいます。最近のDJI製品では意図的にこのモードを選ぶことができないものが多くなっているようです。このモードでは高度だけはある程度維持してくれますが、機体の慣性や風の影響をそのまま反映して流れていきます。この状態での操縦は格段に難度が高くなりますね。


 そこで、ご注意をお願いしたいのは、「Pモード」で飛行していても突然「Aモード」になることがあるという点です。ビジョンセンサーなどが使えない高度で飛行中にGPSの受信数が規定数を割ると、自動的に「Aモード」になります。受信する衛星の数が減るのは、厚い雲に覆われたり、深い渓谷の中、高い樹木の中、ビル街などさまざまな状況があります。

 

 

 上の写真のような渓谷でも低空の位置ではGPSが利用できませんでした。飛行中にAモードとPモードが頻繁に変わります。コンクリートの壁の近くではGPS電波が壁に反射し、機体が位置を勘違いしてその壁に向かってしまうこともあるようです。


 意図的にAモードを選べない機体の場合、意図的にGPSの感度が悪い屋内などの場所を選んで練習しましょう。その場合はかなり操縦難度が上がるので少しずつ慎重に飛ばしてください。

 位置の維持機能を使わない操縦はとても大事です。ぜひ頑張って慣れるようにしてください。

 

横濱 和彦 Kazuhiko Yokohama
1951年生まれ 2012年 空撮チームairvision 立ち上げ映画、TVCM、PR動画、MVなどの撮影をする。MVなどの撮影をする。アマナドローンスクール校長として座学講習や責任者も兼ねる。
【代表作】・JR東日本、JR東海 CM・ヤクルト CM・トヨタ、レクサス PV・レッドブル MV
■実績 総飛行時間:543時間 夜間飛行時間:35時間 目視外飛行時間:25時間
■資格 DJIインストラクター、JUIDA無人航空機操縦技能ライセンス、JUIDA無人航空機安全運航管理者ライセンス、JUIDA認定スクール講師ライセンス、第三級陸上特殊無線技士