amana drone school

コラム

Column

EPISODE3: 鳥との戦い

プロの空撮エピソードから学ぶ
 2011年に株式会社アマナでプロの空撮チーム「airvision」を立ち上げた横濱校長が、機体の開発からCMの撮影まで10年に亘る長い経験の中から全てのドローン運用者に向けたアドバイスをシリーズでお届けする第3回目。

 

今回のテーマは「鳥との戦い」です。
 長くドローン空撮の仕事をしていると、飛行中の機体に鳥が近づいてきてハラハラすることが幾度となくあります。良く近づいてくるのは鳶(トビ=とんび)、鷹(タカ)、鷲(ワシ)、カラスといった種類が多いようですが、いずれも自分の縄張りを守ろうとしたり、繁殖期にはヒナがいる巣を守る行動だそうです。

 

 

 鳶、鷹、鷲はタカ科タカ目で同じ仲間ですが、我々素人には区別がつきません。この種類は遠巻きに周囲を回って観察するだけで、攻撃されたという経験はありません。同じ鳥の仲間ではないと確認すると関心がなくなるのかもしれません。
 
 経験上危険を感じるのはカラスです。カラスも知能の高いことが知られています。繁殖期はナワバリ意識が高くなり、異種の大型の鳥でも果敢に攻撃します。複数のカラスがチームプレーもするそうです。単体ならそれほど心配は無いと思いますが、カラスのグループが近づいてきたら飛行を中止してしばらく様子を見たほうが良さそうです。

 写真はあるロケで鷺(サギ)と思われる鳥に異様に絡まれたときのものです。鳶のような鳥はたくさん経験がありますが、鷺が来るのは珍しく、この時以外は記憶がありません。接触まではしませんでしたが、意外としつこく接近してくるので、飛行を一時中止するハメになりました。もしかしたら繁殖期で近くに巣があり、ヒナがいたのかもしれません。

 

 このように、ドローン近づく鳥に異様な行動が見られた時の対処法ですが、残念ながらこれといった決め手は無いようです。我々は幸い鳥によって墜落という事態にはなっていませんが、海外では体当たりを受けて共に落下なんていう事例もありますね。海外も含め、諸説ある鳥対策のアドバイスで共通したものをまとめると以下のようになります。
 まずはすぐに高度を下げないようにしましょう。高度を下げると相手にとっては攻撃のきっかけになる可能性があります。高度を維持して着陸目標の上空に戻るようにしたほうが良いでしょう。
 また、この理屈を利用して、一度機体を急上昇させるのも効果があるそうす。鳥は自分の高度より上の物は攻撃しにくいそうで、相手に高い位置を取られると態勢を整えるために一度離れるそうです。少し離れたら、その間に高度を維持したまま離陸地点に戻りましょう。

 

 

 マルチコプターはモーターの回転数を変化させると唸り音が発生しますが、これを利用して威嚇したら良いという説もあります。操縦者の性格によってはありがちな対応ですが、危険な操作をすることになり、よほどの上級者以外はお勧めできません。それに、相手を刺激することになり、場合によっては返り討ちなんてことになるかもしれません。

 空を飛ぶ機械はどれもデリケートですが、特にクワッドはひとつのプロペラを一瞬邪魔しただけで即墜落します。皆様の幸運をお祈りします。

 

横濱 和彦 Kazuhiko Yokohama

1951年生まれ 2012年 空撮チームairvision 立ち上げ映画、TVCM、PR動画、MVなどの撮影をする。MVなどの撮影をする。アマナドローンスクール校長として座学講習や責任者も兼ねる。

【代表作】・JR東日本、JR東海 CM・ヤクルト CM・トヨタ、レクサス PV・レッドブル MV

■実績  総飛行時間:543時間 夜間飛行時間:35時間 目視外飛行時間:25時間

■資格 DJIインストラクター、JUIDA無人航空機操縦技能ライセンス、JUIDA無人航空機安全運航管理者ライセンス、JUIDA認定スクール講師ライセンス、第三級陸上特殊無線技士