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コラム

Column

EPISODE9: 2オペあるある

プロの空撮エピソードから学ぶ
 2011年に株式会社アマナでプロの空撮チーム「airvision」を立ち上げた横濱校長が、機体の開発からCMの撮影まで10年に亘る長い経験の中から全てのドローン運用者に向けたアドバイスをシリーズでお届けします。

今回のテーマは「2オペあるある」です。

 

 「2オペ(ツーオペ)」はドローンの操縦とカメラなどの操作とを別々に2人で担当する運用方法です。最近は「デュアルオペーレーション」とも言われていますね。2オペはドローンのコントロールを操縦とカメラワークに分ける機能が必要なので、その機能が無い機種ではできません。DJIの製品で言うとインスパイアより上位の機種が必要になります。

 

 ある時、ボートレース場での撮影がありました。楕円形に周回するコースには2箇所にターンの場所を示す大きなパイロンがあります。そのパイロンの真上にホバリングしてターンしていくボートを真俯瞰で撮影する時に事件が起きました。パイロットは自分から見て奥行きの方向は誤差が分かりづらいですが、左右のズレは分かりますよね。迷わずパイロンに向かってまっすぐ進行させていきます。カメラマンはカメラを真俯瞰に向けてパイロンの位置を狙い、パイロットに指示を出そうとします。ここで問題が起きました。

 

 

 カメラマンが「飛行ラインから右にずれているので左へ行け」と指示を出したのです。パイロットは「はぁ?」となります。ドローンはパイロット目視でコーンの真上にあります。前後のズレは指示に従うが、左右はズレるはずがない確信しているのです。パイロットはカメラの向きを疑います。「ちゃんと真俯瞰になってないんじゃないの?」カメラマンはあくまで画面の見た目を重視します。コーンの真上感が大事です。それが実際の真上じゃなくてもいいのです。なので「いいから移動してくれ」となります。飛行中は詳しい説明をしている余裕は無いので会話が命令調になります。

 

 パイロットがカメラマンの指示に従うのが基本です。なので立場的にカメラマンの方が上にある状態の組み合わせがスムーズに仕事が進みます。年齢、経験、専門性、実績など…。これが逆の状態だとトラブルになりがちです。信頼関係って大事てすよね。指示を出すカメラマンはドローン操縦の事情を熟知する必要があります。パイロットが的確に理解できる言葉で指示を出すためです。移動の方向は特に大事。パイロットから見た方向を考えて指示しなければなりません。「さがって」などの曖昧な言葉は禁句です。カメラマンは監督の指示を受けますので、通訳が大変なんです。大変ですがこれが仕事です。また操縦のニュアンスも大事。操縦を知っているカメラマンは「その移動を維持したまま、すこーし上昇の要素を入れて」などとスティック操作の表現ができます。

 

 言うまでもなくワンオペでも撮影は可能ですし、仕事だってできます。ただカメラワークの自由度から言うと2オペにはかないません。撮影に限らず、点検業務や災害調査などでも2オペができると便利なことが他にもたくさんあります。それなりの設備投資とカメラ操作の練習が必要ですが、機会があれば皆さんも是非チャレンジしてみてください。お互いにリスペクトできるパートナーを見つけてね。

 

横濱 和彦 Kazuhiko Yokohama
1951年生まれ 2012年 空撮チームairvision 立ち上げ映画、TVCM、PR動画、MVなどの撮影をする。MVなどの撮影をする。アマナドローンスクール校長として座学講習や責任者も兼ねる。
【代表作】・JR東日本、JR東海 CM・ヤクルト CM・トヨタ、レクサス PV・レッドブル MV
■実績 総飛行時間:543時間 夜間飛行時間:35時間 目視外飛行時間:25時間
■資格 DJIインストラクター、JUIDA無人航空機操縦技能ライセンス、JUIDA無人航空機安全運航管理者ライセンス、JUIDA認定スクール講師ライセンス、第三級陸上特殊無線技士