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コラム

Column

SPECIAL:航空法改正④運航管理要件

 2022年12月に新たな航空法がスタートする。大きな目的は2023年3月までに「レベル4飛行の実現」をすることだが、今回の改正ではライセンス制度や機体認証制度など新しい制度により構成される規模の大きい改正なので、無人航空機に関する航空法を一から学び直すほどの情報量がある。そこで下記のように5回に分けてその概要を解説する。

 

①改正航空法の全体像    →(5月11日付け掲載)
②機体認証制度       →(5月18日付け掲載)
③操縦ライセンス制度    →(5月26日付け掲載)
④運航管理要件(運航ルール)→(今回)
⑤運航管理システム

 

 12月に予定される航空法の改正は「機体認証制度」「操縦ライセンス制度」「運航管理」の三本柱で構成される。これらはまさに「航空の安全三原則」に基づくもので、「機体の安全」「操縦の安全」「運航の安全」の三要素に当たる。
 新制度の三本柱の三本目「運航管理」は運航のルールを設定し、それを遵守すること。将来的には無人航空機の管制業務につながるものだが、今回の施行で運航ルールに盛り込まれる要件は運航の内容によって段階的に変わる。

 運航の内容は「レベル4相当の飛行」「レベル4未満で許可・承認が必要な飛行」「レベル4未満で許可・承認が不要の飛行」の三段階に分けられ、それぞれに下図の様に5個のルールが適用される。

 

 

 5月末現在、要件としては上記5個が適用されるとしていて、それぞれ下記の様に説明されている。

 

 

①運航形態に応じた安全対策
 これはレベル4相当の運航を対象とした運航管理要件。具体的な個々の運航形態に応じたリスク評価を実施して、その結果を反映する運航マニュアルを作成する。つまり案件毎に具体的なルールを設定することになる。
 リスク評価の方法については国土交通省が「リスク評価ガイドライン」を策定することになっている。
 またレベル4には賠償保険の付保を求めている。これも案件毎の適応性を考慮しなければならないので、場合によっては案件固有の保険の別途付保が必要になる可能性がある。

②飛行計画の通報(現行と同様)
 すでに現行のDIPSを利用して行われている通り、飛行の日時、場所、飛行経路などの情報を事前に届け出ること。

③飛行日誌の作成(現行と同様)
 飛行場所、飛行時間、整備状況などの情報を日誌に記載すること。

④事故報告の義務(全ての飛行に必要)
 人身事故、物損事故、航空機との接触、衝突、あるいは接近による運航妨害などの事象が発生した場合に国土交通大臣に報告しなければならない。

⑤救護義務(全ての飛行に必要)
 操縦者は自身が操縦する無人航空機によって人が負傷した場合にその負傷者を救護しなければならない。

 運航ごとのリスク評価作業とその結果を反映する運航マニュアルの作成など、レベル4の飛行に求める要件はかなり重くなるものの、レベル4以外の飛行については現行の運航ルールとほとんど変わりは無いといえる。あらためて今回の改正が「レベル4の飛行」を実現するためのものであることがわかる。

 ここで改めて飛行レベルの定義について下図を表示する。この図は概要の冒頭で使用したものの説明不足を補ってある。

 

 

 この運航管理制度はその実践の責任者設定の義務が伴うとも思われる。しかし現段階の公表では運行管理責任者の件は無い。操縦者に求められる責任として解釈する。

 ※文中の名称、呼称などは正式交付の際に変わることがある。


次回は「運行管理システム」です。

 

横濱 和彦 Kazuhiko Yokohama
1951年生まれ 2012年 空撮チームairvision 立ち上げ映画、TVCM、PR動画、MVなどの撮影をする。MVなどの撮影をする。アマナドローンスクール校長として座学講習や責任者も兼ねる。
【代表作】・JR東日本、JR東海 CM・ヤクルト CM・トヨタ、レクサス PV・レッドブル MV
■実績 総飛行時間:543時間 夜間飛行時間:35時間 目視外飛行時間:25時間
■資格 DJIインストラクター、JUIDA無人航空機操縦技能ライセンス、JUIDA無人航空機安全運航管理者ライセンス、JUIDA認定スクール講師ライセンス、第三級陸上特殊無線技士