Column
このコラムでもご案内しているように今年の12月には改正航空法が施行となり、いよいよ国家資格としての「無人航空機操縦ライセンス制度」がスタートします。airWorkドローンアカデミーとしてもこの制度における「登録講習機関」として事業稼働すべく準備を進めていますが、すでにJIUDAの操縦技能証明を取得されている皆さまは「民間ライセンス保有者などの経験者向けの講習要件」がどのような内容になるのかご心配のことと拝察します。
国土交通省では2022年7月26日に国家資格としての無人航空機操縦ライセンス取得に向けた講習の基準と、講習を受持つ登録講習機関の運営基準等の「案」を公表し、広くパブリックオピニオンを募集を始めました。
そこで、今回は公表された基準案の中から講習の基準案の中身を解説します。
無人航空機操縦ライセンス取得講習は学科講習と実地講習、そして実地審査があります。それぞれの講習内容と講習時間は操縦ライセンスの区分によって異なります。
まず、表中の操縦ライセンスの区分は以下のようになります。
区分1 初学者か経験者かの2区分
「初学者」とは国土交通省のホームページに掲載される民間講習機関、管理団体の技能証明などを保持しない者を意味し、「経験者」とはそれらを保持する者を意味します。
区分2 一等ライセンスと二等ライセンスの2区分
一等ライセンスと二等ライセンスの内容については5月20日付けのコラム「SPECIAL:航空法改正③操縦ライセンス制度」をご覧ください。
https://adstokyo.com/column/
区分3 基本ライセンスと限定解除ライセンス4区分
「基本ライセンス」には「目視内」「昼間飛行」「離陸重量25kg未満」という三つの限定が付きます。限定のままのライセンスでも目視外と夜間飛行をすることが可能ですが、そのためには都度許可承認申請のうえ許諾を得なければなりません。
これらの限定を解除するには、個別に解除するために設定された講習を受けることになります。それぞれの実地講習の講習時間が追加されることになります。
この基準から見ると、JUIDAのライセンスをお持ちの方が二等ライセンスの基本ライセンスを取得する場合は、登録講習機関で最低6時間の講習を受け、修了審査を通ることで「指定試験機関」での実地試験が免除されます。
目視内限定と昼間飛行限定を解除するにはプラス最低2時間の実地講習を受講することになります。
民間のライセンスなどを持たない方は二等ライセンスの基本でも20時間以上、一等の場合は68時間以上という膨大な時間が必要になります。
次の表は学科講習の内容です。学科に使用される教材の基準も示されていますが、内容は航空の安全三原則に沿ったもので、「操縦の安全」に沿った法規制などの知識、「機体の安全」に沿った技術的な知識、「運航の安全」に沿った運用面の知識という構成になっています。
JUIDAのライセンスに置き換えると「操縦技能証明」と「安全運航管理者」の両方が組み合わされた形になっています。
学科講習では経験者向けの講習時間が初学者に比べて一等で半分、二等では半分以下に軽減されています。
次に実地講習ですが、こちらはライセンス区分と講習時間、講習内容と講習時間の二つの表にしました。
実地講習の時間は経験者に対する軽減がとても大きいことが判ります。二等ライセンスで見ると、初学者は10時間ですが、経験者は2時間と大幅に短くなります。
実地講習の内容は操縦や機体の取り扱いだけでなく、飛行プラン組み立てやリスクアセスメントという作業も含まれています。机上シミュレーションを含む形で、実践的な擬似経験をする内容と言えます。
また機体操縦では緊急時対応としてアティテュードモードでの操縦が含まれています。位置を維持する機能を外して的確な操縦をする能力が求められます。
アマナドローンスクールまたはairWorkドローンアカデミーを卒業された方は大丈夫ですね。
今回ご説明した内容はまだ「案」の状況です。最終的に施行される内容と齟齬が生まれる可能性があります。
また時間表示の数値は最低の時間です。